論考 2015年6月号
アベノミクスの“宴”は終わった!? ~日銀総裁の「円安けん制」発言を“読む”~スモールサン主宰 立教大学教授 山口義行 「さらに円安に振れていくことはありそうにない」――日銀の黒田東彦総裁は10日の衆院財務金融委員会で、円の総合的な価値を示す実質実効為替レートが「ここからさらに円安に振れていくことはありそうにない」との見通しを述べた。 この発言を受け、1ドル=124円台半ばだった円相場は一時122円台半ばをつけ、一気に2円ほど上昇した。 中央銀行総裁が、為替相場に関してこれほど明確なコメントを述べるのはきわめて珍しいことである。ただし、これはけっして一部で言われているような「失言」などではない。黒田総裁は「金融...