論考 2022年9月号
「“時”、“理”、“勢”、“人情” 〜『経済』と『経営』を論ずるに『知るべきこと四つあり』〜」[後編] 立教大学名誉教授 山口義行(スモールサン主宰) 「凡そ経済を論ずる者、知るべきこと四つあり。一つには時を知るべし。二つには理を知るべし。三つには勢を知るべし。四つには人情を知るべし。」これは江戸時代中期の儒学者、太宰春台(だざいしゅんだい)がその著書『経済録』に記している文章である。ここでいう「知るべきこと四つ」は、「経済」のみならず「企業経営」を考える際にも重要な観点のように思えてならない。 そこで以下で――その内容を私なりに膨らませながら――、この「四つ」について若干の解説を試みることにしたい。 目次 (序)「...