論考 2018年7月号
米中貿易戦争に“勝者”はあるのか ~ポピュリズムの正当性が試される!~ 立教大学名誉教授、スモールサン主宰、山口義行 米中貿易戦争勃発――この事態を受けて、「米国と中国のどちらが勝つか」が巷で話題になっている。その勝ち負けを占うことで解説者を気取っている学者やエコノミストたちもいる。こういう人たちは「戦争」という言葉に踊らされているか、「簡単に勝てる」というトランプ大統領の「勝ち負け」発言に乗せられているとしか思えない。 チキンレース たしかに貿易戦争はチキンレース(我慢比べ)という側面がある。したがって、「どっちが先に悲鳴をあげるのか」とか、「どっちが有利なのか」といったことに大衆の興味が向かうのも...