瀧本智恵のシネマ・ノート 2018年9月号
「判決、ふたつの希望」(原題:THE INSULT)~尊厳は人を選ばない~レバノンに生きる人々レバノン・ベイルート。自動車修理工場を経営するレバノン人のトニー・ハンナ(アデル・カラム)は出産間近の妻シリーン(リタ・ハーエク)と新居のアパートに暮らす。違法建築であるアパートの補修工事をしていたのがパレスチナ人のヤーセル・サラーメ(カメル・エル=バシャ)。ヤーセルはせっかく取り付けたバルコニーの新しい配水管を壊して水漏れをさせたトニーに、「クズ野郎!」と吐き捨てる。 その態度が許せず、トニーは建築事務所の所長にヤーセルからの謝罪を要求。所長とともに訪れたヤーセルに向かって今度はトニーが侮辱の言葉を投げつけ...