瀧本智恵のシネマ・ノート　2018年6月号

「万引き家族」～答えはあるのだろうか～家族が生まれ、消えていくまで東京の下町。冬のある日、いつものようにスーパーで万引きを終えた治（リリー・フランキー）と祥太（城桧吏）は、帰宅途中に小さな女の子（佐々木みゆ）を見つけて家に連れ帰る。治はその子が家から閉め出されているらしいことを以前から知っていたのだ。老女・初枝（樹木希林）、治の妻・信代（安藤サクラ）とその妹・亜紀（松岡茉優）が共に暮らす古い家は物があふれ足の踏み場もない。渋々ながらも信代は「ゆり」と名乗るその女の子にご飯を食べさせ、一晩預かることにした。翌日、治と信代はゆりを返しに行くが、外まで響く激しい夫婦喧嘩の声に戸惑い、結局３人で引...