瀧本智恵のシネマ・ノート 2017年12月号
「希望のかなた」(原題:The Other side of Hope)~困ったときはお互い様~手を差し伸べるフィンランド・ヘルシンキ。港の炭置き場の中から顔まで真っ黒になった男が這い出す。駅のシャワーで汚れを落とし、警察に向かう。シリアからの難民だ。名はカーリド(シェルワン・ハジ)。多くの難民とともに収容施設で暮らしながら入国管理局で難民認定の審査に何度も出向く。 ヘルシンキで衣料品の問屋を営むヴィクストロム(サカリ・クオスマネン)は、冴えない仕事と酒浸りの妻に嫌気が差し、家を出る。ギャンブルで軍資金を作ってレストランを買い取り再出発を目指すのだった。ある日、店のごみ置き場で寝泊まりするカーリドと遭遇。難民認定が...