瀧本智恵のシネマ・ノート 2017年6月号
「残像」~自分の側に立ち続けることの苦渋~表現の自由を守る闘いポーランド中部の都市・ウッチ。スターリン主義時代の1949-1952年が映画の舞台。 画家のステゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)は、ウッチ造形大学の教授でもある。芸術家として国内外で称賛されている彼は学生たちの憧れの存在だ。だが、政府の締めつけはどんどん厳しさを増す。芸術表現の中にイデオロギーを求める考えをステゥシェミンスキは到底受け入れられない。独自の芸術の道を歩もうとした彼は大学をクビになり、造形美術化協会から追放された。 それでも学生たちはステゥシェミンスキから離れず、芸術論を聞き書きして残そうとしたり、仕事を見つけてきて彼が糊...