瀧本智恵のシネマ・ノート 2017年1月号
「アイヒマンを追え!~ナチスがもっとも畏れた男」~ナチスとは何か。~過去は捨てられない1950年代後半。ドイツ連邦共和国(西ドイツ)・フランクフルト。ヘッセン州検察庁の検事長、フリッツ・バウアー(ブルクハルト・クラウスナー)に一通の手紙が届く。ナチスの元親衛隊中佐、アドルフ・アイヒマンが偽名を使いアルゼンチン・ブエノスアイレスに潜伏中との内容だ。ナチスの戦争犯罪の告発に執念を燃やすバウアーは、何としてもアイヒマンを捕らえ、自国の法廷で裁きたい。だが、政府中枢をはじめ、捜査機関には元親衛隊の残党たちが潜む。彼らに捜査を頼めばきっとアイヒマンを逃がすにちがいない。元仲間が捕まれば自分たちの過去も追...