瀧本智恵のシネマ・ノート 2016年2月号
「俳優 亀岡拓次」 面白いんだか面白くないんだか、なんともはっきり言い切れない。けれど、妙にまとわりつき、頭の隅っこに、心のどこかにぶら下がって、ブラブラと今も揺れている。 脇役俳優の生きる道ホームレス、下っ端のヤクザ、泥棒、エトセトラ…。小さな脇役ばかりを演じている俳優・亀岡拓次(安田顕)。マネージャー・藤井(声・工藤夕貴)から電話で指示を受け、ロケからロケへの毎日。 ある日、ロケ先、長野県諏訪市での夜、ふらりと立ち寄った居酒屋「ムロタ」で、美人の若女将・安曇(麻生久美子)に出会う。日本酒を差しつ差されつ。亀岡は、恋に落ちる。 東京に戻れば、次は初めての舞台の仕事。憧れの大女優・松村夏子(三田佳子)...