瀧本智恵のシネマ・ノート　2015年3月号

「アメリカン・スナイパー」～番犬はなぜ病むのか？～戦場で生き延びたのに2003年、イラク。クリス・カイル（ブラッドリー・クーパー）は、スナイパーとして戦場にいる。身を潜め、味方を狙う敵を撃ち殺す。たとえ女子供であろうとも。テキサス州出身のクリスは幼少の頃、父から教わる。「人間には3種類ある。羊、狼、番犬だ。」「お前は、番犬であれ」。 アフリカでのアメリカ大使館爆破事件をテレビで目にしたクリスは、入隊を決意。過酷な訓練を乗り越え、最強の軍隊、ネイビー・シールズの一員となる。 2003年9月11日。衝撃の日。妊娠中の妻・タヤ（シエナ・ミラー）を残し、第1回目のイラク派遣。凄腕のクリスは、やがて「伝説野郎」と呼...