瀧本智恵のシネマ・ノート 2014年10月号
「柘榴坂の仇討ち」~時代劇に映る今。~追い続けた13年間ご存知桜田門外の変。今さら説明の要もないが…。安政7(1860)年3月3日、彦根藩主・井伊掃部頭直弼(中村吉右衛門)が江戸城登城の際、18名の刺客に襲われ命を落とす。剣の腕を見込まれ近習に抜擢された志村金吾(中井貴一)を藩は厳しく罰する。 切腹は許さず、刺客の水戸浪士どもの首を上げよと命じる。責任を感じ自ら命を絶とうとする金吾を妻・セツ(広末涼子)は、本懐を遂げるまで寄り添うと叱咤激励する。 13年の歳月が流れ、時代は明治。世の中は大きく変わり始めていた。一人減り、二人減り、金吾が探し続ける刺客は遂に1人となる。 昔なじみの剣友で今は邏卒(らそつ)の内藤...