瀧本智恵のシネマ・ノート 2014年9月号
「No」~人々はなぜNoと言うのか?~広告マンの奮闘1988年、チリ。ピノチェト軍事政権は信任を問う3度目の国民投票を決定。亡命から帰国したフリーの広告マン、レネ・サアベドラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)の元へ、反政府左派メンバーの友人ウルティア(ルイス・ニェッコ)が訪れる。反対派「No」陣営のリーダーだ。投票までの27日間、政府から与えられた1日15分のテレビ放送枠の内容を作ってほしいという相談だった。レネは渋々仕事を引き受ける。 「No」陣営が考えていたのは、ピノチェトの独裁政権下で弾圧された人たちの姿など、陰鬱なものばかり。レネはもっと明るく、希望や喜びを感じさせるものが必要だと主張し、斬新でポ...