瀧本智恵のシネマ・ノート 2014年7月号
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌」 (原題/Inside LLEWYN DAVIS)~エールを送られたのだと思う…。~ルーウィン・デイヴィスの一週間1961年、ニューヨーク、グリニッジヴィレッジ。ガスライトカフェで歌うルーウィン・デイヴィス(オスカー・アイザック)。 売れないフォーク歌手の彼は、文無し宿無し。世話になった知人宅を猫と一緒に締め出され、友人の彼女を妊娠させて中絶費用を要求され、まさに八方塞がり。友人のレコーディングにピンチヒッターで参加し、少々のカネとギターと猫を抱いて、ヒッチハイクでシカゴに向かう。 大物プロデューサーに売込みをかけるが、敗北。ついに音楽をあきらめ、父と同じ船員になろ...