瀧本智恵のシネマ・ノート 2024年6月号
『明日を綴る写真館』 出会いが心を解きほぐす 少しずつ変化する気持ち とある地方都市。父親から引き継いだ写真館を営む鮫島(平泉成)。その店頭に飾られた写真に惹かれ、気鋭のカメラマン・太一(佐野晶哉)が突然、弟子入りを志願し押しかけてくる。無口で素っ気ない鮫島に代わり、妻・桜(市毛良枝)が優しく応対。独立して家を出たひとり息子・直哉(嘉島陸)の部屋に住まわせる。 自分の遺影を撮りに来た友人(佐藤浩市)、危篤の祖母のために昔の写真を探す孫、一人ひとりの客と丁寧に向き合う鮫島の姿を見て、コミュニケーションの苦手だった太一は少しずつ心を開いていく。太一は母親にわだかまりを持ち疎遠になっていた。実は鮫島...