瀧本智恵のシネマ・ノート 2013年3月号
「ジャンゴ 繋がれざる者」 (原題/DJANGO unchained) タブーだなんて言っているうちは、世界は変わらないのだ。たぶん。 黒人が主役の西部劇奴隷市場で馬のように取引され、鎖に繋がれ歩かされる黒人奴隷の列。名前を尋ねられ一人の奴隷が答える。「ジャンゴ」。え!?主人公は黒人奴隷!?西部劇なのに!? 舞台は1858年、南北戦争が始まる約2年前のアメリカ・テキサス州北部。ジャンゴ(ジェイミー・フォックス)は、自称歯科医で賞金稼ぎのキング・シュルツ(クリストファ・ヴァルツ)と出会い、自由の身=フリーマンとなる。きちんと服を纏い、馬に乗り、銃を携えたジャンゴに向けられる奇異のまなざしをものともせず、二人は淡々...