瀧本智恵のシネマ・ノート 2023年2月号
『すべてうまくいきますように(原題:Tout s'est bien passé)』 最期を自分で決める 父の望みを叶えるまで パリに暮らす小説家のエマニュエル(ソフィー・マルソー)。84歳の父アンドレ(アンデレ・デュソリエ)が倒れたとの知らせを受け、妹のパスカル(ジェラルディーヌ・ベラス)と病院に駆け付ける。脳卒中で一命は取り留めたものの身体に麻痺が残る。実業家で財産を築き上げ人生を謳歌してきたアンドレ。彫刻家の妻クロード(シャーロット・ランブリング)とは長く別居中。 エマニュエルが病室を見舞ったある日、アンドレが言う。「終わらせてほしい」。安楽死を希望するのだ。戸惑いながらも父の言葉を無下にはできない。何しろ頑固...