瀧本智恵のシネマ・ノート 2022年11月号
「あちらにいる鬼」 3人の鬼たち 愛に生きる 1966年。徳島県での講演会に講師として招かれた作家の長内みはる(寺島しのぶ)。迎えの車には先客がいた。同じく作家の白木篤郎(豊川悦司)。篤郎がみはるの着物を褒める。それが二人の出会いだった。 東京に戻ると、みはるは見学と称して篤郎が暮らす団地を訪れる。その帰り道で篤郎の妻・笙子(広末涼子)と出会い挨拶を交わす。バス停でみはるを見送った篤郎は笙子を自転車に乗せて颯爽と去っていった。 同棲する真二(高良健吾)も交えて3人で酒を飲むが、みはるの心の中はすでに篤郎が占めていた。程なくして真二と別れ、みはるは京都に居を移す。男女の仲となった2人。仕事場として東京...