瀧本智恵のシネマ・ノート 2021年4月号
「旅立つ息子へ(英題:Here We Are)」 それぞれの選択 舞台はイスラエル。アハロン(シャイ・アヴィヴィ)は自閉症スペクトラムの息子ウリ(ノアム・インベル)と二人暮らし。何処へ行くにも一緒だ。妻タマラとは別居中。 ある日、サイクリングから帰宅した二人をタマラが待ち構えていた。ウリを全寮制の施設に入れることに反対する夫を説得に来たのだ。渋るアハロンだが定職を持たない彼は養育不適合と見做され裁判所からも施設への入所の通達が出る。 入所日が決まり、父と息子が施設へ向かう道中、ウリはパニックを起こす。アハロンとてウリを手放したくない。二人の逃避行が始まる。 最初は美術大学時代の友人エフィの家へ。母の葬儀中...