瀧本智恵のシネマ・ノート 2020年12月号
「燃ゆる女の肖像」 解放される心と身体 出会いと別れ 18世紀フランス。女生徒たちにデッサンを指導する女性画家。教室の隅に立てかけられた一枚の絵について問われ、私が描いたものだと答える。画家の名はマリアンヌ(ノエミ・メルラン)。彼女の回想で物語は始まる。 マリアンヌはブルターニュ地方の離島へ渡る。この島の城館に暮らす貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の絵を描くためだ。依頼主の伯爵夫人(ヴァレリア・ゴリノ)から、画家であることを隠して娘と接するよう命じられる。エロイーズは見合いのための肖像画を描かれることに反発しているからだ。 昼間はエロイーズの散歩相手をしながら観察し、夜に絵を描き進める。正体...