瀧本智恵のシネマ・ノート 2020年7月号
「ハリエット」 不屈の人 ハリエットの歩んだ道 1849年、アメリカ・メリーランド州。ブローラス農場の奴隷、ミンティ(シンシア・エリヴォ)は、自由黒人の夫ジョンとともに、弁護士から届いた手紙を持って農場主に直訴。先代農場主の遺言書通り、彼女自身も含め将来生まれる我が子は自由黒人の身分にしてほしいという内容だ。だが農場主はあっけなく却下。そして農場の借金返済のためにミンティを売り飛ばすと告げる。ミンティには姉たちが南部に売られ消息不明になってしまった悲しい体験があった。もうこれ以上家族と離ればなれになりたくない。逃亡を決意し、奴隷制度が廃止されていたペンシルベニア州を目指す。 森を抜け河を渡り、ナル...