瀧本智恵のシネマ・ノート 2020年6月号
「その手に触れるまで(原題:LE JEUNE AMHMED)」 彼は変るのだろうか 純粋であるがゆえに 舞台はベルギー。13歳の少年アメッド(イディル・ベン・アディ)はムスリム(イスラム教徒)。尊敬する導師がいるムスクの礼拝に熱心に通う。「大人のムスリムは女性に触らない」と言って放課後クラスのイネス先生(ミリエム・アケドウ)との握手を拒んだり、母親の飲酒を非難したり。そんな息子の言動を母親が心配していた矢先、導師に感化されたアメッドは、イネス先生を背教者と決めつけナイフで襲い、少年院に送られる。 更生プログラムの一環で農場に通うことになったアメッドを教育官たちが親身になって見守る。1日数回ある御祈りの時間を取れ...