吉田名誉教授の中小企業コラム 2021年10号
「公共財としての中小企業の技術力を考える」 駒澤大学名誉教授 吉田敬一氏 1980年代のマイクロ・エレクトロニク(ME)化の急激な進展は技能・熟練の解体を進めた一方、IT技術やソフト開発の比重を高め、「コンピュータ、ソフトがなければただの箱」という表現がマスコミで多用されました。たしかに「コンピュータ、ソフトがなければただの箱」ではありますが、他方で「コンピュータ、ハードがなければ、ただの夢」にすぎません。レオナルド・ダ・ビンチの天才的頭脳は数多くのアイデアを図面で残しましたが、生産技術が追い付かなかったので具体的なモノにはなりませんでした。現在でも、鋳物・鍛造や切削・研磨をはじめとする多様で高...