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SSゼミ名古屋・9期・第9回 海外進出の苦労から学んだ「ありがとう」と言われるブランド作り
三星刃物株式会社様は明治6年(1873年)、関市で刀鍛冶の傍ら、打刃物の製造・販売として創業。145年の老舗企業が今では、日本の技術を世界へ発信するまでになっています。
1912年から東南アジアへ進出。
1947年に現在の三星刃物となり、まさに順調でありましたが、関という古い町でありながら独断の海外進出は、地域から誹謗中傷の嵐を浴びました。
しかし、そのおかげで今があると渡邉社長はおっしゃっています。
主力の事業は、OEM生産。
激変する時代の変化の中、OEMだけでは、この先、他社に負けてしまう。
そこで提案型OEMに切り替えること思いつき、すぐに実践。
しかし、スモールサンでも学びを活かし、1+1=2のOEM提案型から1+∞の自社ブランドをつくり上げました。
その苦労の過程からブランドづくりまでを熱く語っていただきます。
講師:ゼミGIFUメンバー/三星刃物株式会社 代表取締役社長 渡邉 隆久 氏
開催日時:2019年4月15日(月)18時20分~
担当プロデューサー:山内税務会計事務所 山内 新人 氏
ゼミレポート
◆中国での苦労と経験
中国への進出。はじめは順調だったが、税関長が変わった事で材料の供給が停止。危機に陥った時に、友人よりアドバイスを聞き、地域に合わせた対応をして脱出。
中国で6年間は赤字、その後利益がでているが人件費の高騰が厳しい。
インターネットの普及で情報がボーダレスになり、競争が激しくなっている事など、状況の変化に対応する必要がある。
◆苦労から生まれた自社ブランド作りへ着手
・提案型OEM。はじめは成功したが2年で値上げ交渉が相次ぐ。
原因は、決定権はお客側だった事。
・家内からの一言「老舗企業なのに、どうして自社ブランドがないの?」
この事から、自社ブランドを作ろうと決意するが、今までやった事がなくどうしたらいいのかわからない。
そこで、奥様が開催しているパン教室の生徒さんにアンケートをとりニーズを探った。
その後、包丁職人に弟子入りして、職人から話を聞き、実際に自分自身が刃物を作り、見て触って実体験をした上でブランド作りへ。
◆2015年 ドイツ 国際見本市出展
品質はBMW、しかし売れるものではないと散々言われてしまった。
そこで、隣でブース出展された方に連絡を取り、試しに使っていただいた。
1ヶ月後にとても良い評価をいただけ、ご協力をしていただけた。
◆社員の大反発
2015年以降、自社ブランドを打ち出していく中、社員からは大反発を受けた
・どこで売れるのか?
・デパートの催事に出展をしてみたものの、よく売れても10本。
・社員より、OEM商品の方が売れた話を出されてしまった。
など、様々な反発が起きていた頃、スモールサンで山口先生のお話を伺う。
5%の新規性、自社ブランドへの取組み。
弱みを強みに変えるブランド作りに力を入れる。
◆弱みを強みに変えられるのか?
・デザイン 家内と2人で何度も試作
・国内販売経験無し 店頭販売
・ふるさと納税 ネットでブーム
・職人が集まらない 地域起こしで若者が集まる
・どうせ切れなくなる 新聞紙や紙やすりでも研げる
など、弱みを強みへと変えていくことができた。
◆徐々に人気が出てきた理由
有名な雑誌で特集を組んでいただけたり、NHKでの放送オファーがあり放映された。
なぜ起きたのか?
自分が愛し、「ありがとう」と言われるブランドである事だと思われたから。
何より、自分がブランドを愛する事がとても大切。
◆自社ブランドはデザインが良ければ良いのか?
デザインがよくても、うまくいかない。
なぜか? 愛がない。地域に根ざしていない。
ゼミの後半では、渡邉氏が持参していただいた包丁とご自宅にある本物の刀をご持参いただきました。(許可証も持参しておられました)
和NAGOMIの包丁、刀を間近で見られる機会に、ゼミメンバーの皆さんも興味津々に見られ、多くの質問も上がりました。
ブランドを愛し、いろんな事にチャレンジしている事で今がある。
自社ブランドは、1+1=2ではなく無限大。
偶然は、求める人の前にしか立ち止まらない。
貪欲に、話を聞き行動する。
懇親会
懇親会では、講師の渡邉氏にもご参加いただき懇親を深めました。
質問コーナーでは、自社ブランドを展開していく中でのどんな事があったのか、今後の展望など伺い、楽しくも学びある時間となりました。
今回のゼミでは、自社ブランド作りは、商品への愛が作りだしていくものだと感じました。ブランド作りは簡単にはいかないものだからこそ、本当に愛があるのかが試され、購入し利用されたお客様にも伝わるものだと思いました。
チャレンジを続けるにも、たくさんの苦労をされており、それでもやり続けるには、地域に根ざし商品への愛があったからこそだと思います。
スモールサン ゼミNAGOYA
サポーター 関上 直人